企業を経営・運営していると、従業員に関する「見えない問題」に直面する場面があります。
競合他社への情報漏洩が心配、無断で副業をしているのではないか、職場でのハラスメント行為が報告されている。
こうした状況に置かれたとき、経営者や人事担当者が選択肢として検討するのが「従業員の素行調査」です。
しかし、素行調査という言葉に対して「違法ではないか」「やりすぎでは」と感じる方も少なくありません。
実際には、適切な目的と方法のもとで行われる素行調査は合法であり、企業を守るための正当な手段です。
本記事では、従業員の素行調査が必要になる具体的なケースと、調査を検討すべきタイミングについて詳しく解説します。
従業員の素行調査とは

素行調査とは、対象となる人物の日常的な行動・言動・交友関係・勤務実態などを調査することを指します。
企業が従業員を対象とする場合、主に「問題行動の証拠収集」や「リスク管理」を目的として実施されます。
調査の内容としては、勤務先への出退勤状況の確認、外回り中の行動確認、社外での言動や交友関係の把握、競合他社との接触有無などが挙げられます。
探偵事務所(興信所)に依頼することで、企業が自社では収集しにくい客観的な証拠を得ることができます。
素行調査が必要になる主なケース
競合他社への情報漏洩・転職の疑い
重要な営業情報や顧客データ、技術情報などが競合他社に流出している可能性がある場合、早急な実態把握が求められます。
「受注していたはずの案件が競合に奪われることが増えた」「退職した元社員の転職先が競合企業だった」「在職中から副業として競合他社の手伝いをしている様子がある」といったケースでは、情報漏洩の実態を調査する必要があります。
特に注意したいのは、情報漏洩が一度きりの行為ではなく、継続的な接触の中で行われるケースです。特定の従業員が競合他社の担当者と頻繁に会っている、退職前後の時期に不自然な資料の持ち出しがあったといった兆候が重なっている場合、早期の実態把握が被害の拡大を防ぎます。
不正競争防止法や就業規則上の守秘義務違反として法的対応を取るためにも、素行調査による証拠の確保が不可欠です。
二重就労・副業の無断実施が疑われる場合
就業規則で副業・兼業を禁止している企業において、従業員が無断で他の仕事をしているケースがあります。
業務中に私的な作業をしている、有給休暇の取得が不自然に多い、本業の成果が著しく低下しているといった状況は、二重就労のサインである可能性があります。特に在宅勤務・リモートワークの従業員については、勤務時間中の実態を社内から把握しづらいという事情もあり、相談が増えている領域です。
副業禁止規定に違反する行為は懲戒処分の対象となりますが、処分を行うためには客観的な証拠が必要です。「疑いがある」という段階から「事実の確認」へ移行するために素行調査が活用されます。
ハラスメント行為の実態確認
社内でセクシャルハラスメントやパワーハラスメントの訴えがあった場合、企業には適切な調査・対応義務があります。しかし社内調査だけでは当事者間の証言が食い違い、事実の特定が難しいことも少なくありません。
特定の従業員について複数名からハラスメントの報告が寄せられている場合や、被害者が社内への申告をためらっている場合などは、第三者機関による客観的な調査が有効です。社内の人間関係の中では収集しにくい、勤務時間外の言動や、社外での接触状況についても、外部の調査によって把握できることがあります。
素行調査によって問題行動の実態や頻度、場所、関係する人物などを把握することで、企業としての適切な対応が可能になります。
長期病気休職中の従業員の実態確認
体調不良を理由に長期間休職している従業員が、実際には元気に活動しているという相談は決して珍しくありません。
「SNSで元気そうな投稿が続いている」「別の仕事をしているという噂がある」といった情報が寄せられた場合、企業として休職の実態を確認する必要が生じます。休職期間の延長を繰り返す、診断書の内容と実際の生活実態に食い違いがあるように見える、といったケースも相談の対象になります。
不正な休職は給与・社会保険料の損失であるとともに、他の従業員の士気にも影響します。実態調査によって客観的な事実を把握することが、適切な人事判断の前提となります。
問題従業員の行動記録・解雇の証拠収集
従業員を解雇・懲戒処分するためには、客観的な証拠が必要です。「問題行動があることはわかっているが、証拠がない」という状況では、不当解雇として訴訟リスクが生じます。
素行調査を通じて問題行動の日時・場所・内容・頻度などを客観的に記録することで、人事処分の正当性を裏付ける根拠が整います。特に、これまで口頭注意や書面注意を重ねてきたにもかかわらず改善が見られない場合、次の処分段階に進むための裏付けとして調査記録が重要な役割を果たします。
社内での口頭注意・書面注意に加えて、第三者による調査記録を持つことは、企業が法的トラブルを回避する上で非常に重要です。
このほか、経費の不正使用・横領が疑われる場合や、採用候補者の身元確認についても、素行調査(調査手法としては同様の行動確認)が活用されます。それぞれの詳しい対応方法は、以下の記事で解説しています。

こちらも参考にしてください
従業員の横領・着服が発覚したら|企業がとるべき対応と調査の流れ
横領・着服が疑われる場合に、企業がとるべき対応と調査の流れを解説しています。
素行調査で分かること・分からないこと
素行調査は万能ではありません。
依頼を検討する前に、対応できる範囲を正しく理解しておくことが重要です。
- ○勤務時間中・外回り中の実際の行動
- ○社外での接触相手・行動パターン
- ○申告された行動と実際の行動の乖離
- ○問題行動が発生している日時・場所・頻度
- ×行為の法的な違法性の判断(弁護士等の専門家の領域)
- ×社内処分の妥当性の判断
- ×対象者本人への聞き取り・事情聴取
- ×私生活領域のうち、正当な調査目的と無関係な部分への立ち入り
素行調査で得られるのは、あくまで「行動の事実」です。その事実をどう評価し、どう処分に反映するかは、弁護士など専門家と連携しながら企業側で判断する必要があります。
素行調査を検討すべきタイミング

素行調査は「確証がない段階」で依頼することに、多くの方が抵抗を感じます。
しかし、確証を得るために調査をするのであって、確証があってから調査をするわけではありません。
次のような状況が重なっているとき、調査の検討をお勧めします。
調査事例

こちらも参考にしてください
応募者の経歴確認は採用前に|採用リスクを減らす事前調査の方法
採用リスクを減らすための、応募者の経歴確認の方法を解説しています。
素行調査の合法性と注意点
従業員への素行調査は、目的が正当であり、社会的に相当な方法で行われる限り、違法にはなりません。
ただし、以下の点には注意が必要です。
よくあるご質問
まとめ

従業員の素行調査が必要になるケースは、情報漏洩・副業・ハラスメント・不正休職・問題行動の証拠収集など、多岐にわたります。
横領や採用候補者の身元確認についても、同様の調査手法が活用されます。
素行調査で分かるのはあくまで行動の事実であり、その評価や処分の判断は専門家と連携しながら進める必要があります。
いずれのケースも、「疑いがある」段階で早めに動くことが、企業を守る上で重要です。
「おかしい」と感じた直感を見過ごさず、専門家に相談することが問題解決への第一歩です。
ミレナ探偵事務所では、企業からの素行調査・従業員調査についてのご相談を承っております。
調査の必要性の判断から、適切な調査方法のご提案まで、まずはお気軽にご連絡ください。
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